初めての峠

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初めて峠を走ったのは中学一年の頃 その頃は釣りに行こうと走っていた…愛車は父より譲り受けたブリジストンの古い自転車 古いフレームで重たく速く走るには向かないツーリング車のようだったが…十分頑丈で頼もしい相棒だった 釣りに行ったのは奥多摩湖という湖…自宅からの距離は40kmくらい まだ体力のない頃だったためたどり着くかも分からないちょっとした冒険だった 朝はやくに家を出て荷物満載の愛車を走らせた…季節は夏で朝の気持ちいい涼しく綺麗な風が吹いていた 出発してから一時間半…やっと半分くらい走った そろそろ日が高くなってきて気温も上がってきた それから30分くらい走った頃やっと奥多摩湖への最後の登りにさしかかった…こんなにも走るのは初めての事だったため、かなり体へのダメージが大きかった 登り区間の距離は車などならすんなり走ってしまう程度の大した距離ではなかったが 荷物満積の自転車は今まで感じたことのない重さで 足には乳酸が溜まり心拍も高まり汗はダラダラ 今まで感じだことのない苦しみだった…だが、諦めなかった 走りきり奥多摩湖に到着…辛かった…だが凄く気持ち良い 朝誰もいない駐車場で湖を眺める 疲れているが生き生きしていた… 釣りを終えると…再び荷物を積み走り出した 帰りは下りだと ドキドキしていた 下り区間に突入…今まで出したことのないスピードで下っていった 高速コーナーが続く峠 一つ低速コーナーがあり そのコーナーにさしかかった時 ただがむしゃらに倒し込み自転車はアウト側にふくらんでいく 初めての曲がれない感覚…外側への強烈なG タイヤが滑る 危なかった…でもそのときドキドキした感覚 楽しくてしょうがない トンネルに入り全開で漕いだ 最高速であろう速度域に突入 風を切る感覚 見たことのない風景がぶっ飛んでる景色 その日から自転車で走る行為は移動の手段だけではないと考えるようになった
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