第1話

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「おい! テメェ、それはどういうことなんだよ?」 「超えたいzone 秘訣売り場ばかり通い  なにかに依存 してるうちはカナリヤ鳥  それじゃ飛べない鳥 出れない 鳥カゴ  羽ばたきたいなら 与えろ only oneを!」 「おい! ふざけんなよ!」 ニトロは台の上の商品を手に取り、それをマイクにしながら鋭い目つきでライムを続けた。 「目に映る車窓 満員山手線  前に立つ女装 menイン長袖で  膨らむ妄想 うたた寝 顔寄せて    羨むモノ 掴め 孫の手で」 「それ、ただの孫の手だろ? そんなの孫の手なんかで掴めるわけないじゃねぇか! バカじゃねぇの!」 「人を裁くだけの揚げ足取りとネガティブは楽だ  サハラ砂漠で火傷オマエは一人ヒトコブラクダ、yeah!」 「はぁ? 別にネガティブで上等だし」 「真夏で面倒くさい 太陽で 顔真っ赤さ  がさつで無限に独裁 マジ非情で サドマッカーサー   傘いらずで不変に朝来 cry youでwet 枕さ ? ?ダサいマヌケ無銭に能無し な才能でお先真っ暗さ」 「おいテメェ! ふざけんなよ!」 サラリーマンの怒りが最高潮に達しそうなのを見計らったニトロは、ラップを一旦止め、普通に話しかけた。 「コレは…… ただの孫の手とちゃうで?」 「はぁ? どっからどう見てもただの孫の手じゃねぇか!」  ニトロは孫の手の掻く側の先端部分をボールペンのキャップを外すように引っ張った。 すると、手の部分が外れ、耳かきのような先端に変わった。 「ほら見てみ」 「なっ、なんだコレ?」 「ちょっと失礼」 といいながらサラリーマンが着ているシャツをズボンから出しお腹が見えるようにめくり上げた。 「ちょっ、何してんだよ」 「やっぱりや……」 「何がだよ?」 「へそのゴマが溜まっとるわ」 「へっ、へそのゴマ!?」 「この孫の手はなぁ、へそのゴマ取り機能付きなんや」 「なんだよそれ……」 ニトロは再びライムを始める。 「閉ざされたその穴は 生まれる前みんなが お腹出た頃の母と 繋がってたwith マザー Babyの頃は 好奇心にあふれ 形式こだわらず そのままに  Daily この時代は情報にあふれ 正式に 歩むべき方向を忘れ 詰め込みすぎて 失ったパッション 受け取りすぎて すき間無く雑音 そろそろ揚げ足取りよりも へそのゴマ取り ゴソゴソと閉ざされたドア 開けゴマSo key 空っぽになって 見える新世界
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