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向かい合って荒井と座ると、大きなメニュー表を荒井が二人の前に置いて、話しかけて来る。
「ここのは上手いけど、ニンニク入りのはすごい臭うから、やめた方がいいよ。俺は食うけど」
「え、なんで俺はダメで、荒井さんはいいんですか?」
「だって、黒川さんがニンニク臭とか、絶対似合わないし。
パートのおばちゃんたちに、俺が怒られるからさ。
黒川さんになんてもの食わすんだって」
黒川はメニューのニンニク抜きの物を眺めながら笑う。
「なんでパートさんに怒られるんですか」
荒井は、これにしようと手で自分のを指さしてから顔を上げる。
「黒川さんって無駄に綺麗でしょ?」
「無駄にって」
「細くて白くて、柔らかいし、人当たりいいしさ。
俺だって、なんかときめくし」
いやいやと、笑って黒川は返して、店員を呼び出すボタンを押す。
「ときめかないでくださいよ」
苦笑しながら出されたおしぼりで手を拭くと、荒井は黒川の指を見つめて、はぁっとため息を着く。
「指まで細くて綺麗なんだもんな。それにさ、何その泣きぼくろ? エロいって」
黒川は荒井が言っている、自分の右目の下にあるほくろを指で押さえる。
「俺の貞操やばいですかね?」
「もう、酔ってたらやばいかもね」
荒井が笑って答えていると、店員がやって来た。
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