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柳加奈は、仕事から帰って来て、ワンルームのアパートの電気をつける。
ここは狭くて落ち着く。
鍵をかけて、チェーンをすると、靴を脱ぐ。
入ってすぐに小さな備え付けキッチンが通路に沿ってあるし、その先はもう部屋になっている。
真っ直ぐ部屋の方に歩いて行って、壁に寄せておいてあるパソコンデスクに、持っていた鍵を置く。
鞄はそのデスクに押し込んである椅子の上に置く。
そして、カーテンを引く。
毎日、毎日、同じことをしていく。
お米を研いでセットしたら、シャワーを浴びる。
そして、シャワーから出て来たら、髪にタオルを巻いたまま細やかなおかずを作って、それから髪を乾かす。
いいの。
当たり前の様に営んで行く日々が、愛おしいのだから。
通話アプリや、人と繋がるものは要らない。
寂しいなんて思わない。
このなんでもない日々が私は愛おしい。
髪が乾かし終わると、大体ご飯が炊けて、一人夕飯をテレビに相手をしてもらって食す。
そして、そのあとはテレビを見たり、ネットで中古の本を漁る。
パートタイムで一人暮らしのお金を賄うのは正直、ぎりぎりであまり贅沢は出来ない。
それでもいいと、中古の本を注文して、電気を落とす。
なんでもない日々が私は愛おしいのだから。
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