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加奈は週に五日仕事を入れている。
時給は午後から出た方がいいので、午前十一時から休憩を入れながら八時間働いている。
加奈の仕事は、ショールームに来た客に家具の説明をすることのほかに、商品の陳列や在庫の整理などがある。
人手が足らなければ、名刺を作るコーナーの手伝いに駆り出されるし、苦手なパソコンの接客などもする。
仕事の中で大変なのは、家庭用のパソコンデスクや椅子の在庫を、在庫置き場のラックに積み上げる作業だった。
椅子だけでも五キロはある箱だし、パソコンデスクになると十キロくらいある。
それを自分の背と同じくらいの位置まで積むのは、さすがに自分の力だけでは無理なので、男性の手に頼らざるを得ない。
一人で黙々と汗を掻きながら作業をして、加奈の限界まで積むと、軍手の甲で額の汗を拭った。
同じ部門担当の松田は今日は出勤してこない。
男性社員で頼めるのはあの人しか居ない。
思い浮かんだだけで顔をしかめてしまう相手。
それでも頼まなければ仕事が終わらない。
せめて同じ社員でも荒井さんが居てくれれば、頼みやすかったのに。
溜息をつきながら、足早に事務所に向かう。
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