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暫く書類整理などをして待って居ると、加奈と同じ赤色のエプロンをした岡村が現れる。
加奈はお店の支給品であるポロシャツの上に、同じく支給品の赤いエプロン姿。
岡村はスーツのズボンにシャツという格好の上に、やはり汚れを防ぐためにエプロンをしていた。
「ごめん、待たせたね」
この人は確か三十も近い年齢だと聞いたけれど、大学出たての様に若く見える。
それがまたなんとも胡散臭い様な気がして、加奈は好きではない。
「いえ、お忙しいのにすいません」
家具の展示している場所の向こうに、文具を品出ししている大林の後姿を見つけて、加奈はちょっとだけ気まずい気分になる。
大林は加奈と年齢が一つしか違わないし、身長もほぼ一緒で、体型が似ているため、よく間違われる。
あちらはどう思っているのか知らないけれど、加奈は別に大林は嫌いではない。
でもきっと、こんな風に岡村さんと仕事をしていたら、噂されてしまうかもしれない。
勘違いされることも嫌なのだが、仕事がやりにくくなるのはもっと嫌だった。
同世代の同僚たちに、好かれていないのは加奈にも解っている。
本当に、愛想悪くしてる訳でもないし、陰口叩かれるようなことはしてないのにと、気持ちが暗くなる。
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