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 わかるが、俺もここで引くわけにはいかない。俺の人生がかかっているのだから。 「そこをどうにか」 「嫌なものは嫌」  ヨネは頑なだ。このまま膠着状態が続けば、いずれ誰かがここに来てしまう。それは避けたかった。  仕方がないので、俺はヨネの罪悪感をあおってみることにした。 「お前は俺が猫になってもいいのか? 猫になって一生を終えろと言うのか? 俺みたいな奴は猫になってもかまわない、とそう言うのか?」 「そ、そんなことないけど……」  俺はあと二十分で完全な猫になる。  今はまだ症状が出ていないが、これから耳や尻尾が生え、体毛が深くなり、身体が縮む。  そして、言葉を喋ることも出来なくなり、最後には猫になるのだ。俺には猫化の魔法がかかっていた。  なんで俺がこんなことになったのか。それは四時限目の授業まで遡る。
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