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「おばあちゃん、疲れてない?どこか具合悪いんじゃない?」
最近、顔色が悪く見えるので声をかけると祖母は笑って見せた。
「別に何ともないわよ?そんな風に見える?」
うん、話すといつもと同じだ。
だとすれば、理由は1つ。
「お兄ちゃんが心配ばかりかけるから、おばあちゃんも疲れちゃうんだよ」
兄は17歳、高校を中退して工事現場で働いている。
両親は私が小3の時、交通事故に巻き込まれ他界した。
2つ違いの兄はそれまで凄く優しくて大好きだった。
でも数年前から兄は変わった。
暴走族に入り、今ではリーダーになっている。
元々スポーツが得意で、空手や柔道を習っていたので、それを武器として、あっと言う間にここらでは知らない者がいないくらいの有名な不良が出来上がった。
「ヒロキは優しくて良い子だよ、」
おばあちゃん、孫に甘すぎる!
でも、そんなおばあちゃんだから、私たち兄妹のために毎日美味しいご飯を作ってくれる。
おばあちゃんのお弁当は本当に美味しい。
お母さんのも美味しかったけど、おばあちゃんのは文句なし。
「私もおばあちゃんやお母さんみたいな美味しいお弁当が作れるかな?」
「大丈夫だよ、愛奈も同じように作れるから」
ちょっと信じがたい....
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