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「ただいま....あれ?」
祖母の気配が感じられない。
祖母は日中はパートタイムで働いているが、私より帰りが遅くなる事はまずない。
買い物かな?
そう思いながら台所に入った私の視界に、床でうずくまる祖母の小さな体が飛び込んだ!
「おばあちゃん!」
それから約2時間後、私は病院のベッドで眠る祖母の脇に座っていた。
祖母が倒れたのは貧血らしいが、過労なども重なりしばらくは入院して検査をする事になった。
倒れた祖母を見つけた私は、あまりにも驚きすぎて、どうしたら良いのか分からずに殆ど無意識に兄に電話をしていた。
自分が何を言ったのかは覚えていない。
ただ、電話を切った5分後には救急車が来て、その5分後には兄が私の前にいた。
「ばあちゃんと一緒に病院へ行け」
「お兄ちゃんは?」
「後から行く」
私はおばあちゃんと救急車で病院に行き、集中治療室の前で落ち着かない時間を過ごしていた。
しばらくして兄がやって来た。
「お兄ちゃん!」
不安で不安で仕方ない私はつい大きな声を出してしまった。
「静かにしろ」
冷たい。
昔の兄ならきっと私の手を握り、大丈夫だよって言ってくれるはずだ。
「今、医者に聞いてきた。特に心配は要らないが検査はした方が良いから入院させる」
え?
「おばあちゃん、何処が悪いの?」
「それを調べるための入院だ」
兄はそう言うと私に紙袋を渡した。
「何?」
「飯、食ってないだろ」
袋の中にはコンビニのおにぎりと水が入っていた。
「多分、あと1時間くらいで病室に移る。それまでここにいろ。俺は用事を済ませて来る」
そう言うと兄は背中を見せた。
心細いな....
でも仕方ない。
少し落ち着いたらお腹が空いてきた。
コンビニのおにぎりなんて久しぶりだ。
いつもはおばあちゃんのご飯だから。
何か味気ないな....
兄はいつもこんなのを食べているんだろうか?
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