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それはWeb小説。
栗林(くりりん)というハンドルネームでWebにて小説を連載しているんだ。もちろん残念な小説だけど面白いと言ってくれる人もいるし、続きを楽しみにしてくれる人もいる。まあ、プロになれるレベルじゃないけど、それでも楽しいし、誇りを持ってる。
極々少数だけど人を楽しませているんだと思うと誇らしいんだ。
待ってくれる人がいると思うと嬉しいんだ。
だから書く。
書き続けた果てになにがあるのか分からないけどそれでも書きたいと思うんだ。そんなネットに自分の居場所を見つけている僕。リアルには期待していない。加えて天才が嫌いだから余計に学校生活が嫌で仕方がないんだ。
だからこそ今日も嫌な学校生活をやっと終えて家路を急いでいたってわけ。
一分一秒が惜しかった。
早く帰って思いっ切り小説を書くぞと勇んでいたのだ。
「ハローハロー。菊池翔太くん」
……あれは少女?
僕を通せんぼする人影。目の前で両腕を広げて肘から90度曲げた格好の黒い人影がもそもそと動いている。誰だ。まったく見覚えのない少女だぞ。
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