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彼女の両肩を掴み、ぐいっと力を込めて引きはがす。彼女は笑みを崩さず、可愛い瞳でじっと脇目もふらず僕を見つめ続けている。か、可愛い。彼女の眼差しにいまだにキスすらも経験してない僕がどきまぎしながら紅潮してしまう。
「沙理りん?」
「イエス。沙理りん。ジュース買ってちょ。オッケ?」
紅潮しながらも疑問に思う。この独特のしゃべり方はどうにも人を小馬鹿にしているようで鼻について仕方がない。加えて対照的にも見える整った容姿が天才を想起させてとても嫌な気分になる。
くどいようだが僕は天才が大嫌いなのだ。
特にジニアス生が嫌い。
「もしかして君もジニアスの生徒? 僕の嫌いな天才なのかな?」
ストレートに真っ正面から忌憚なく言ってやった。
出鼻を挫いてやったのだ。
僕は天才とお友達になる気はない。もちろん可愛い女の子とはお近づきになりたいが、いくら可愛いかろうと天才であるならば友達にはなれない。僕が天才を嫌っている事をまず知って欲しい。彼女の返事を待つ。静かに。
彼女は微笑んだまま。
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