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橋の袂のコンビニを出ると街に向けて道が延びている。私達の家はここから橋を渡って東、街はこのまま西に進むと着く。
「普段はテレポートしてしまうから分からないが、普通に歩くと案外色々なものがあるのだな。」
街まで行く道すがら、その脇には様々な景色がある。宇宙人は基本、道を作らない。拠点さえあればそこにテレポートしてしまえば済むからだ。
そもそも、広い宇宙に道など無意味だ。
「そうですわね。地球人は道を作る事で行き来し、交流してきた文化を持ちますの。彼らにとって道とは繋がり、指標でもあるのですわ。特別な思い入れのあるそれに、鮮やかな景観を加えたのでしょうね。」
道には樹木や花が美しく植えられ、建物もその景観を壊していない。
土手には見事な芝生が覆い繁り、その上の線路は遠方を繋ぐ道になっている。
「文明レベルは低いものの、文化に関しては実に見識の広い種族なのだな。」
道を通る車も、瞬間移動や宇宙船に比べれば無駄の塊のような機械だ。形や規格を統一するだけで生産性や性能は格段に跳ね上がるであろうに、同じ形をほとんど見ない。
とても合理的とは思えないが、趣味趣向の強いものなのだろう。
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