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だけど、物心付いた頃には母はいなくて、父と弟と三人で暮らしていたから、こんなものかな、と正直子ども心にもそう思っていた。
だから、親父の再婚で「母親」ができた時は、とまどった。
だけど、お袋はおおらかな人で、そういった俺のとまどった気持ちもわかってくれていた。
俺とお袋が仲良くなったきっかけは、料理だった。
俺は、小学校に上がった頃から弟のために、簡単なおやつは作るようになっていた。
火は絶対に使わないように親父に言われていたから、握ればできるとか、オーブントースターで焼けばできるとか、混ぜれば完成とか、まあその程度のものだったが。
だけど父子家庭の食事の事情なんて押して知るべしだったから、お袋の手料理を初めて見た時は、正直、感動した。
そして食べてみて、さらに感動した。
『これ、どうやって作るの? 俺も作ってみたい』
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