chapter.1

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【01】  その奇妙な店は、 民家に挟まれる事で余計に胡散臭さを際立てていた。 風祭正志[かざまつり ただし]は その看板を遠くから見つめている。 『なんでも屋イカロス』 正志は今、とあるゲームソフトを探していた。 ほんの数日前に発売されたRPGゲームで タイトルは『ミカエルの翼』。 飛べなくなってしまった天使、ミカエルが 自分の翼を取り戻す為に冒険する、 というストーリーで 正志はこのゲームがやりたくて堪らなかった。 しかし、そう思ってる人は 正志以外にもたくさん居るらしい。 近所のゲーム店を 片っ端から当たってみたにもかかわらず どこも売り切れだったのだ。 落胆と疲労に肩を落としていたその時、 正志はその店を見つけた。 『なんでも屋イカロス』は 看板や外装からは何を売ってるのか分からない、 木造の古ぼけた店だった。 しかし、そっと覗いてみると ガラスケースの中に小さな機械の様な物が並べられている。 “コレはもしや穴場のゲーム屋なんじゃ…?” 正志は、期待というよりは 好奇心に依って店へと足を踏み入れた。
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