ポプラの色

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「ねえ、君。」 色が抜けた髪、黒いジャケットにシルバーのペンダント、いかにも遊んでそうな男が、ニヤニヤしながら声をかけてきた。 「なんですか。」 うざい。勘弁して欲しい。 欲しい本がないからって、街まで出てくるんじゃなかった。 「そんな顔しなくたっていいじゃん。かわいいから声をかけただけなのに。」 そいつの隣にいた男もニヤニヤしている。耳の辺りの髪を刈り込んでいて、耳には痛そうなピアス、グレーのブルゾンを・・・、もういいや。見たくない。 「私、急いでるんです。」 振り切ろうとして、偶然、持っていた傘がペンダントの男に当たった。 「いって!ヤベ、骨、折れたかも。」 「マジで?!うひゃひゃ!」 連れの男が、おもしろそうにバカっぽく笑う。
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