58人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、君。」
色が抜けた髪、黒いジャケットにシルバーのペンダント、いかにも遊んでそうな男が、ニヤニヤしながら声をかけてきた。
「なんですか。」
うざい。勘弁して欲しい。
欲しい本がないからって、街まで出てくるんじゃなかった。
「そんな顔しなくたっていいじゃん。かわいいから声をかけただけなのに。」
そいつの隣にいた男もニヤニヤしている。耳の辺りの髪を刈り込んでいて、耳には痛そうなピアス、グレーのブルゾンを・・・、もういいや。見たくない。
「私、急いでるんです。」
振り切ろうとして、偶然、持っていた傘がペンダントの男に当たった。
「いって!ヤベ、骨、折れたかも。」
「マジで?!うひゃひゃ!」
連れの男が、おもしろそうにバカっぽく笑う。
最初のコメントを投稿しよう!