秘密

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「Emma, do you believe in the love at first sight? (一目惚れってあると思う?)」 「Is it in the fairy stories, or reality?(おとぎ話の世界か、現実の話か、どっち?」 「Well, I mean both. (どっちも。)」 エマは勘がいいから分かっているんだろうけれど、根掘り葉掘り聞かずにいてくれた。 「I have never fall in love at first sight. So, I don't believe in such feelings. But, I like you since we had met. (私はそういう経験ないから信じないけど。だけど、私はあなたを初めて見たときから好きよ。)」 すこし考えてから言葉の意味を理解した。 「Thanks, Emma.」 友情も恋愛も、自分の気持ちを信じるしかない。そう思ったら、不安がすこし和らいだ。 ギルの連絡先は敢えて聞いていない。だけど彼を信じるなら、次のSTUDENT day でまた逢えると思っていた。同じ気持ちなら、きっと。 エマは少し間を置いてから、口を開いた。 「Aki, you have to think about preventing conception before you'll spend a night with him. 」 単語が分からなくて聞き返すと、エマが言葉を変えて言い直してくれた。 避妊のことだと理解して、私は一気に赤面した。この国では病院で検査を受けてから、ピルを飲むのが一般的らしい。女性も避妊を考えているのだ。 日本ではそういう話を友達とも家族ともしたことがない。すごく恥ずかしかったけど、エマが私を心配してくれているのが伝わってきた。 エマにお礼を言ってから、春香には内緒ね、と付け足す。春香は留学に来てから誰からも声をかけられないことに対して焦りを感じているのを、私は気づいていた。 春香は美人なのに容姿にコンプレックスを感じていた。大学デビューだと自ら言っていた。 アルコールに依存しかけていて、恋愛にも。そんな危うい人だった。 食事を済ませ、部屋に戻る。すこし躊躇ったが、私はシーツを洗濯した。ギルの匂いが消えて、すこし落ち着いて勉強できた。 しかし勉強を終えて、22時過ぎ。ベッドに入るとまたいろいろ考え込んでしまった。 私は昨夜の情事を思い出して、身体が熱くなっていた。でも自分ではどうすることもできない。熱を持て余した私は、真夜中まで眠れなかった。
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