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思ったより早く用事が終わり、帰宅した。すると聞き慣れた声がする。リビングに顔を出すと春香、紗央莉、結実で話していたようだ。
荷物を自室に置いてから、私もリビングに向かった。
留学開始から3ケ月が経ち、私たちはすっかり打ち解けていた。違うコースに所属しているので、授業のことを話したり、これから行きたい観光地を挙げたり。そして話題は私たちが日本にいた時の話しになった。私は春香と、結実は紗央莉と同じ大学だった。春香とは留学に行くことになってから親しくなった。だから、お互いのことはよく知らない。
「亜希は日本に彼氏居ないの?」
結実が私に訊ねた。
「あー、良くある話だけど……留学行くってなって別れたよ。」
あまり良い思い出ではなかったので、それが顔に出ていたらしい。聞けば、結実は彼氏が日本に居るらしく、遠距離恋愛の仲間を探しているようだった。
「そっかー、やっぱり1年って長いよね。」
春香は大学に入ってから2、3ケ月付き合っては上手くいかずに別れて……を繰り返しているらしい。
私は昨日の飲み会に参加していなかったので、集中的に質問を浴びた。話は恋愛のことで盛り上がる。しかし、黙って話を聞いているだけの紗央莉が気になった。
「紗央莉は?」
私が紗央莉に問いかけると、気まずそうに口を開いた。
「私、年齢イコール彼氏居ない歴の人間だから。」
紗央莉は見た目も性格も大人しい人だ。加えて結実と紗央莉が日本で通う大学は、女子大。いい出逢いはなかなか無いらしい。
「私、別れた人は学外の人だったよ。バイト先の飲食店の人。女子大でも出逢いはあるよ!」
私が言うと、なぜか春香が勇気付けられたらしく、CLUB edgeで必ず彼氏を見つけてみせると意気込んだ。
それを見て、みんなで笑いあう。
それなら服を買いに行こうとなって、明日は隣町へ買い物に行くことになった。
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