秘密

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隣町のダウンタウンへは、電車に乗って30分くらいで着いた。 貧乏留学生なのは全員一緒で、贅沢は出来なかったけれど、ただ街を歩くだけでも楽しい。 普段暮らす街とは違い、このダウンタウンは歴史的にも価値のある都市だった。綺麗な聖堂が街の中心にそびえる。それを取り囲むように、色調の整ったダウンタウンが整備されていた。日本でも見るような有名店もある。 「あ、エマが教えてくれたお店かな。」 私はエマから昨夜、安くて可愛い服が売っているお店を数店舗聞いていた。エマは家族がこの街に居るので、たまに遊びに行くのだという。 入り口から中を少し覗くと、心がときめく。 私は来週は外食しないと宣言して、服を数点購入した。 頭の中にはギルのことがあった。 ーーこんな服、好きかな…… 会えるかどうか、確証も無いのに。私はそんなことを考えていた。 日が暮れる前に、私たちは帰途についた。帰宅してエマにお礼を言うと、疲れてはいたが私は勉強を再開した。
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