秘密

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ギルがフラットを出るのはあと2時間後。 私たちはベッドに横になり向きあって、話をしていた。 「You said that you have something to tell me. (何か伝えたいことがあるって言ってなかった?)」 私の胸のあたりに手を置いていたギルが、動きを止めた。 「I want you to know about me. (俺自身のこと、もっと知って欲しいんだ。)」 私が頷くと、ギルはまた私の身体のラインを優しくなぞりながら言葉を続けた。 彼はいろいろなことを話してくれた。 親が医師で、自分もなるつもりだということ。CLUB edgeで連れ立っている友達は、いわゆる地元の友達だということ。 寮生活は息が詰まるから、実家に帰ると申請してたまに夜遊びをしていること。 親の期待もあるし、親を尊敬しているから絶対医師になるのだと思っていること。 キラキラした顔で話をするギルをみて、年相応な部分があることが新鮮に感じられた。 熱を交わすときの彼は、私を包み込むような柔らかさがあった。私の欲望を受け止めて、それに対して有り余るような快感を与えてくれる。 「I want you to know about me too.(私のことも知ってほしい。)」 そう言って、ギルの胸元に顔を寄せる。華奢な身体は、しなやかな筋肉と滑らかな肌を纏っていて、とても美しかった。 私は自分のことを話し始めた。 留学するきっかけは、イギリス文学にのめり込んだからだということ。どうしてもイギリスに行きたくて、専攻とは違うコースだが何とか交換留学の枠を得たこと。留学生活は想像よりずっと楽しいこと。貧乏生活も悪くないこと。 そんな話をギルは笑顔で聞いてくれた。 「Well, I will tell you something important. (えっと、他にも大事な話があって。)」 ギルが私の髪にキスをしながら言う。 「What? Tell me, please? 」 ギルが私のヒップラインをなぞり始めた。くすぐったくて、思わず声を漏らす。見上げたギルの顔を見て、今の仕草は照れ隠し?……そんな気がした。
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