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春香とは無言のまま、別々の方向へ進む。タイトなジーンズにブーツを履いて、人ごみに身を委ねる。
軽く酔いが回ってきたころ、1人の男性が私の腰に手を回した。見つめられて、しばらく身を委ねてみる。ドキドキしたけれど、なぜだか居心地は悪い。
頭の中はなぜだか、ユウジとのことを思い出していた。
ーー声が出せない。
私たちはユウジのアパートで、シャワーを浴びて身体を重ねていた。
初めての体験。私はユウジに言われるがまま服を脱ぎ、彼の上着のボタンを外した。下着も脱がせて欲しいと言われ、照明を落としてから彼の希望を叶えた。
柔らかく押し倒されて、唇を重ねてくる。手のひらは徐々に下に下がり、恐怖が押し寄せる。唇を何度も重ねるユウジ。
「気持ちいい?」
下腹部の手の動きを止めずに、ユウジが上目遣いで私を見る。
「うん……」
ーー手、カサカサして痛い
そんなことは言えず、私はどこかで得た知識を以て
声を漏らした。
ユウジは息が荒くなって、私の蕾を強く擦った。
ーーもうすぐ、くるのかな……
そんなことを考えたら、怖くなった。少しだけ感じる気持ち良さにも浸れない。避妊具を目の前に見せつけられて、羞恥心から目を閉じた。
目を閉じたまま立てた膝を割って入ってきたユウジは、荒い息遣いでまたキスをした。
逃げる腰を掴まれたあとは、頭はやけに冷静になっていた。
「亜希……」
私を呼ぶユウジの声。それに応える術はなく、必死にシーツを掴んでいた。痛みに耐えかねて、声を押し殺して首を振る。それに気付かないユウジは、私の腰を離してはくれなかった。
程なくしてユウジの動きは止まり、行為が終わったのだと告げられた。
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