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第2章
九月半ばになっても降り注ぐ熱を帯びた陽光は、
まだ夏が終わってないことを体感させた。
十四階建てマンションの六階、
ダイニングキッチンのテーブルで、
亜希子は制服姿で
ミルクとバターをたっぷり塗ったトースト、
それとスクランブルエッグにパクついていた。
「今頃になってもこの暑さだなんて、
これも地球温暖化の影響かしら」
強い日差しに目を細めながら、
レースのカーテン越しに外を見て
母親の由実が言った。
「今日は打ち合わせで遅くなるから、
帰ったら冷蔵庫の中のハンバーグ温めて食べてて。
それとサラダも作ってるからそれも一緒にね」
「わかってる」
いつものことだという感じで亜希子は答えた。
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