第1章

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 午後十一時五七分。最終電車を待つ、 そのプラットホームに人の姿はまばらにしかなかった。 彼らのほとんどは中年のサラリーマンで、 足元もおぼつかないほどの酔客ばかりだ。  屋根を支える支柱に よりかかってうたた寝している者、 ベンチに横たわって失禁している者、 冷たいコンクリートの地面に 座りこんで大声でグダをまいている者、 ホームから線路に向かって、 おじぎをするように身体を折り曲げながら ゲロを吐き出している者もいる。  
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