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中学の頃の亜希子自身も、家族三人で遊びに行ったり、
食事をしたりした記憶はほとんどない。
父と母の間に流れる希薄さは、
彼女なりに敏感に感じ取っていた。
離婚を決定づけたのは、
父の希一に「女性」ができたことだった。
それも単なる浮気ではなかった。
希一は由実に離婚を求め、しかるのち、
その女性と再婚したからだ。
相手の女性は希一の会社の取引先の秘書らしかった。
妻である由実と過ごす時間より、
その秘書との時間の方が長かったということか―――。
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