第2章

3/8
221人が本棚に入れています
本棚に追加
/298ページ
中学の頃の亜希子自身も、家族三人で遊びに行ったり、 食事をしたりした記憶はほとんどない。 父と母の間に流れる希薄さは、 彼女なりに敏感に感じ取っていた。 離婚を決定づけたのは、 父の希一に「女性」ができたことだった。 それも単なる浮気ではなかった。 希一は由実に離婚を求め、しかるのち、 その女性と再婚したからだ。 相手の女性は希一の会社の取引先の秘書らしかった。 妻である由実と過ごす時間より、 その秘書との時間の方が長かったということか―――。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!