第2章

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かつて由実と結婚した時も似たようなきっかけだった。 当時、とある企業の新商品のマーケティングを任された希一は、 由実が勤めていたデザイン会社に企画・立案を依頼した。 その時、その仕事を担当することになった彼女と知り合い、 仕事の打ち合わせをしているうちに 付き合うようになって結婚したのだ。 (パパは淋しがりやなのかも・・・) 亜希子は今でもそう思っている。 それに対して由実の方は違った。 もともと男勝りで、さばさばした性格の由実は、 希一に離婚を切り出された時もあっさりとそれを承諾した。 そして亜希子の親権を主張し、 慰謝料と養育費の確約を取ると、離婚届に判を押した。 相反する性格の二人であったが、 共通していたことがひとつあった。 それは一人娘である亜希子の気持ちを まったく考えていないことだった・・・。 「すこし口紅キツいかな?」 由実が亜希子の前にかがみ、唇を突き出す。
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