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彼女はマサユキの車を降りると、
ドアミラーにトートバッグを叩きつけてへし折り、
その場から走り去った。
ドアミラーの惨状に
パニックになったマサユキの悲鳴が、
背後から響いてきたのを覚えている。
本当はタクシーで帰りたかったのだが、
財布には三千円ほどしかなかった。
今日のデートで使い果たしてしまい、
それでこんな最終電車に
乗らなければならないことになってしまったのだ。
胸ポケットの携帯が着メロを奏でた。
マサユキからだ。ウザそうに顔をしかめると、
携帯を開いてメールを読んだ。
そこには破壊されたドアミラーの
恨みつらみが書き連ねてある。
謝罪要求と弁償請求。
(誰があやまるもんか。弁償?ざけんなよ。
だったらこっちも今までの飯代、
遊び代、ホテル代請求してやる)
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