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スポットライト
2日後の土曜日。私は大家さんに連絡を済ませてエマと共にタクシーに乗り込んだ。
事件の詳細は、エマとマルク、ギルにしか伝えていなかった。春香には誰かに付けられた気がするから一時的にエマの実家にお世話になるとだけ伝えている。
マルクが引越しの手伝いを申し出てくれていたが、エマの弟が居るから心配ないとのことだった。
荷物は少ないと思っていたが、冬服は嵩張るためになかなかの量になってしまった。
タクシーに積み込んで、私たちは20分ほどかけて住宅地へと到着した。
エマの実家は素敵な庭があって、白を基調とした家だった。この国らしく、建築年はかなり古い。数十年前の建物をリフォームして住んでいる人も多く、この家もそういった趣があった。
エマが玄関をあけて、中へ声をかける。
「Nice to meet you.」
優しい声と共に、すぐにエマと面ざしのよく似た女性が現れた。事情を説明してあったので、何も言わずに笑顔で迎え入れてくれる。リビングに通され、私はソファに腰掛けた。庭が大きな窓からよく見えて、なんだか絵画の中にいるような気持ちになった。
ーー外国の人が日本家屋に来たら、こんな気持ちかしら。
そんなことを思っていると、エマが弟に声をかけに行くと言って出て行った。
何でも、寝不足で寝ているんだとか。
入れ替わりにエマのお母さんがリビングに入ってくる。
人数分のティーセットとお菓子が、手元のトレイにセットされていた。
「Hi. I'm Aki. I really appriciate your kindness. (亜希といいます。ご好意に大変感謝してしています。)」
「No problem. I'm glad to meet you. My name is Sofia. Emma often talks about you when she comes home. (いいのよ、会えて嬉しいわ。私はソフィア。エマが良く、帰ってきた時にあなたのことを話しているのよ。)」
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