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ご主人ーーつまりエマのお父さんは仕事があって、夕食までには戻ってくるとのことだった。
自己紹介を終えたところで、ドアの外から会話が聞こえた。
私はソファから立ち上がり、ドアの方に身体を向ける。エマに続いて入ってきた少年の姿を見て、私は思わず声が漏れた。
「……Gill?」
少年は呆然と私を見ている。
「Do you know each other?(知り合いなの?)」
エマが今まで見た中で一番、びっくりした表情を見せて言った。
「……Yes. She is my girlfriend. (うん。俺の彼女。)」
そう言ったギルの顔は現実が把握しきれていない様子だった。
ソフィアは事情がよくわからないはずなのに、一番色めき立っていた。
「My boy got a girlfriend finally!(うちの息子にもついに彼女ができたのね!)」
その横でエマが、what the hell……(何てことなの)と呟いたのが微かに聞こえた。
並んだ姉弟は、よく見ると確かに似ていた。色素の薄い髪に、青い瞳。なぜ今まで気づかなかったのだろう。
それから私とギルは、ソフィアとエマに私たちの関係を説明した。
エマはいろいろ聞きたいことがありそうだったが、とりあえず荷物を運んでしまおうということになり、私たちは玄関に向かった。
スーツケースとダンボールが3つ。
1人1個で終わる量だ。ギルが先頭になり、客間に向かう。1階の1番奥に客間があった。
「……Fantastic.」
私は大人っぽい落ち着いた調度品が揃った部屋に感嘆の声を上げた。改めて厚意にお礼を言い、夕食までに荷物を片付けることにした。
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