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翌日、日曜日。
皆で朝食を摂ってからホームステイのルールが決められた。エマと私が同じ歳ということもあり、話し合いはすぐにまとまってしまった。大学へはバスで通えるし、家賃代でフラットに納めていた金額と同額が、ホームステイの料金になった。それは本当に有難いことだった。
私はギルに呼ばれて、彼の後に続く。庭に出て、小さな噴水を眺めながらベンチに腰掛けた。
手をつないで、並んで座る。
先に口を開いたのはギルだった。
「I feel relief to know that you will stay at my home.
(俺の実家に居るって知って、安心した。)」
私は繋いだ手から伝わる温もりを感じながら、黙って話に聞き入った。
デイビッドは開業の産婦人科医であること、ソフィアは看護師としてそこで働いていること、ソフィアの勤務時間は平日昼間なので、安心して帰ってきて欲しいと伝えられた。
ーーお父さん、産婦人科医なんだ……
エマが私に助言してくれたのも、ギルが初めての夜に私を大切に扱ってくれたのも、ご両親の影響なのかな。
私はそんなことを考えていた。
生活リズムの変化には思ったより早く適応出来ていた。
フラットで1人部屋で過ごしていた時よりも笑って過ごせている気がした。
春香とは授業で顔を合わせていたし、立て込んだ課題についてマルクも交えながらカフェで話し込んだりもしていた。
しかし結実と紗央莉はコースが違い、同じ学内に居ながら顔を合わせたりしなかった。
「2人とも元気?」
私は春香に尋ねる。3人はパブで会ったりしているので、様子が聞きたかった。
「相変わらず授業はつまらないみたいだけど、楽しそうだよ。」
「そっか、良かった。」
それからバス停に向かって、私は1人で帰途についた。
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