スポットライト

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帰宅すると、ソフィアがキッチンに立っていた。私はできる範囲で料理も手伝っていた。フラットでは1人で食事をすることも多く、誰かと一緒に食卓を囲む幸せをあらためて感じた。 ソフィアも子どもたちが自立し始めたこともあり、デイビッドのシフトによっては1人で食事をすることも多かったらしい。 だから私との食事の時間をとても楽しんでくれていた。 話題はクリスマスの過ごし方になった。 私は冬の訪れを随分前から密かに楽しみにしていた。 私は早速、そのことをソフィアに話す。 「How do you spend time on Christmas day this year?(今年のクリスマスはどう過ごすの?)」 「Well, as usual, we will have dinner, and exchange Christmas cards. When our kids was little, we gave them gifs. But now they are matured, so probably we won't prepare those things. (そうねぇ。いつものように夕食を食べてクリスマスカードを交換するわ。子どもたちが小さかった頃はプレゼントもあげたけど、もう大きくなってしまったしそういったものは用意しないかもしれないわね。)」 よく話を聞くと、こちらのクリスマスは日本のそれとは趣旨がかなり違うようだった。 店は閉まるし、電車も殆ど運休。カフェも閉店。 クリスマス商戦という言葉は無い。 代わりにBoxing dayというものがあるらしい。 「You need to have patience untii the Boxing day comes. Everything will be the cheapest in the year, so that you can enjoy shopping. (ボクシングデーが来るまで我慢が必要よ。 一年で1番物が安くなるから買い物も楽しいはず。)」 「Now how about in your country? How do you spend Christmas day? (ところであなたの国ではどうなの?)」 私は日本のクリスマスが、幼い頃は家族と、そして大人になれば恋人と過ごすための日になっていることを説明した。 街は賑やかで、華やかで。 そして、てっきりこの国でも似たようなイベントなのだと勘違いしていたことも伝えた。 「I see. So you can experience both of types this year. (そうなのね。じゃあ今年は両方体験できちゃうわね。) ソフィアが嬉しそうに言う。意味を理解した私は、嬉しくて微笑み返した。
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