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客間に戻るとメッセージが来ていた。
ギルが明日、金曜日の夜に帰ってくるらしい。土日も家に居ると聞いて、胸が高鳴った。
早速勉強にとりかかる。私は空が白み始めるまで勉強を続けた。
ギルは夕食に間に合うように帰宅した。デイビッドも揃って、4人での食事が始まる。エマは今日は用事があるらしく、明日顔を出すと連絡があった。
私の「いただきます、ごちそうさま」の儀式は、この家族に定着しつつあった。
これを言わないとモヤモヤするので、ホームステイしている今も続けている。
最初は宗教的なお祈りかと思っていたらしいが、そこまでの意味合いは無く、料理をした人と食材に感謝しているのだと伝えたら理解してもらえたようだった。
私たちは少しだけワインを飲み、あとは各々ゆったりと過ごしていた。
私は夕食が済んだらギルの部屋に行く約束をしていた。実は引越しをしてからしばらく経ったが、ギルの部屋に入ったことはなかった。
ドキドキしてドアをノックする。
「Come in.」
声が聴こえて、ドアを開けた。
「わぁ……!」
私は思わず、感嘆の声を上げた。壁には天体の写真や天体模型、望遠鏡に写真集が所狭しと並べられていた。
ギルを見ると、なんだか恥ずかしそうにしている。
「Do you like stars?(星が好きなの?)」
ーー天体って、なんて言うんだろう?と考えながら、私は木星の写真に見入った。
ギルは私を見ているものの黙っている。
「What's wrong? (どうしたの?) 」
問いかけると、ギルがようやく口を開いた。
「I was feeling nervous if you would accept my favourite thing. (趣味を受け入れてくれるかずっと心配してた。)」
確かにギルの部屋は天体に関するもので埋め尽くされていた。好き、を大きく超えた情熱が伝わってきた。
好きなものを共有したい気持ちから、小学生の頃に好きだった女の子を天体観測に連れ出したら相手が風邪をひいてしまったらしく、しかもつまらないことに付き合わされて寒いだけだった、と文句を言われたんだそうだ。
「I can't stop myself when I start talking about the planets. (天体のことになると話が止まらなくて。)」
私はギルの意外な一面を見て、思わず彼の腕に抱きついた。
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