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「今日は婚約のお祝いをしていたんです。明日香さんにこの前正式にお付き合いを申し込みましたが、断られまして……。理由を話してくれたので、今日はお祝いで食事にお誘いしました。」
諒はだんだん理解が進んで、ゆっくりと明日香に目線を移した。明日香は照れながらも嬉しそうに、クレヴァン氏の言葉を聞いていた。
3人の話は弾んだ。クレヴァン氏の気遣いもあって、空腹だった諒はそのまま夕食を注文した。
ーー良かった、明日香がこの人を好きにならなくて
諒は胸を撫で下ろした。
面と向かって話すのは初めてだったが、クレヴァン氏は明日香にふさわしい魅力的な男性だった。
自分にはない、余裕のある気遣い。
押すところと引くところをよく理解している。
話題も豊富で、何より話していて楽しい。
ーー俺、なんで明日香にあんな要求してたんだろう。…俺だって、クレヴァンさんと並べてみたら、子どもみたいな発想しかないつまらない男なのに。
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