Epilogue

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諒は明日香にメッセージを送る。返信が来ないのは分かっているが、それでも何かせずにはいられなかった。 ーー明日香と話したいなぁ…… 日常の些細なことを笑いながら話すこと。一緒にキッチンに立って料理を作ること。草野球に行って、日差しの下で明日香の笑顔を見ること。 それらがいきなり全て、遠いものになってしまった。2人にとって、こんな喧嘩をしたのはもちろん初めてだった。 一方で、諒の携帯には高橋からのメッセージが毎日来ていた。無下にする訳にもいかず、短文で返信をしていたが、その度に諒はどんどん気持ちが沈んでいった。 明日香とのことをはっきり言わないのは、諒なりに気を遣ってのことだった。社内結婚は珍しくないが、女性は仕事を辞めるのかとか妊娠がどうだとかすぐに話題になる。 明日香はすぐに仕事を辞める気は無いと言っていた。社内では苗字も変えずに働く予定だ。だから結婚のことは、部署内の人以外には知らせる気がなかった。 ーーあ、明日香だ。商談終わったのかな。 部署の行動予定表で、今日は明日香と先輩の結木が外出しているのは知っていた。諒も客先に行った帰り道で、少し離れた所に明日香の姿があった。いつもと違うシャツを着ている。諒には見覚えがないものだった。
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