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諒は結木から聞いた情報をもとに、ホテルの前に立った。エントランスでレストランの階数を調べる。
「……3階か。」
エレベーターを使って足早に上層へ上がると、目的の場所が見えた。フロントに立ったものの、中の様子を伺い知ることはできない。
ウロウロしている諒に、レストランのスタッフが声をかけた。
「お客様、ご予約いただいていますでしょうか?」
「あー、いや……。クレヴァンさんという方が来ていませんか。僕は村上諒と申します。プライベートな場所に押しかけて申し訳ないのですが、少しお話しをしたいんです。」
スタッフは戸惑いながら奥へ消えていった。
しばらく待つと、先ほどのスタッフが顔を見せた。
「どうぞ、ご案内いたします。」
諒は不安を抱えながらスタッフに続いて店の奥へと進んだ。
個室になっている場所に案内されて、スタッフがノックをした。
「失礼いたします。村上様をお連れ致しました。」
ドアが開くと、明日香とクレヴァン氏が向かい合って座っていた。食事は済んだようで、デザートと紅茶が揃えられていた。机にはピンク色の薔薇の花束が飾られている。
「……諒!どうして……?」
驚いた様子の明日香に対して、クレヴァン氏は笑顔だった。
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