第5章:世界は広かった

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 暗がりの部屋を進み、スーツのまま寝室のベッドに倒れこむ。 『もう少し時間をくれないか』  そういうだけで精一杯だったけれど、そもそも"もう少し"で今の状況がよくなるなんて思っていない。  けれど、そう言うしかなかった。素直でまっすぐな和田からは、もう逃げられない。違う意味で腹をくくるしかない。獅子ヶ谷要らしさを一番知っている和田が、自分のことを思って言っているのだから間違いない。  こんなに自分は弱い人間だったのだろうか。  こんなにも思い通りにならないことだらけの人生だっただろうか。  ぐるぐると同じところを回っているような気がする。出口なんて、ゴールなんて、とっくに見失っていた。  和田だけがその答えを知っているのかもしれない。  けだるさが背中を押して、何もかもめんどくさくなって、要は落ちるように眠った。
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