第5章:世界は広かった

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 ずいぶんと遠回りをしてしまった。  そして、浜村に申し訳ない気持ちになった。最初の頃、聞く耳も持てなかった浜村の言葉は、今ならば理解できる。こんな自分を、見捨てないでいてくれている浜村に感謝したい気持ちでいっぱいになった。  浜村だけではない。すべての人は平等で、自分以外の他人は自分より劣るのではない。  そう思うと、世界は新しいことで満ちている。自分の生きてきた世界のなんと狭いことか。  自分の考え方や価値観が少しずつ変化していても、純太郎に変化はない。ならば、自分が教え方を工夫するようにした。この人は必要じゃなければ覚えない。そもそも、脳が受け入れない。  だからこそ、実際に使うこと、役立つことを中心に教えよう。  純太郎がひとつ学んでいくことに、要は喜びを感じるようになった。この教え方がうまくいったのだ。  そのひとつひとつが小さな自信に繋がった。
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