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今思い返しても、怒りがぶり返してくる。
梨華も、由美も、友達だと思ってた私が馬鹿だった!!
彼女の憤怒の顔つきに、向こうからやってきたサラリーマン風の男が、ぎょっとした顔をして道を譲った。
彼女は、忌々しげに舌打ちをした。
友達なら、応援してくれるのが普通でしょ!?
それなのに!
思い出せば、再び悔しさが湧いてくる。
彼女は、ギリ、と歯を食いしばった。
結局、自分は馬鹿にされ、笑いものになっただけだった、そう思うと、さらにどす黒い感情が腹の中からわき出てきた。
正樹のことだって、そう!
怒りがさかのぼっていく。
正樹にちょっかいを出している女がいる、って知ってたくせに、私には何も教えてくれなかった。
なぜかって?
あの地味な女に、私が負けるところが見たかったのよ。
そして、二人で、
ううん、
あいつらの男も一緒に、皆で私のこと笑いものにしてたんだ!!
ムカつく!
ムカつく!!
彼女は横断歩道を渡り、人の波に逆らうようにして歩き続けた。
しばらく怒りに我を忘れて歩いていて、ふと周囲の風景に違和感を感じ、彼女は小さく舌打ちした。
うっかり、曲がらなければいけない道をまっすぐ直進してしまっていた。
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