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「で、俺にどんな助言をしろと?」
ミッドナイトはそう言って、胸ポケットから煙草を取り出して火を付けた。
日本語だ…やっぱり人間だ、この世の人だ…でも黒人さん?外国の方かなぁ…
坂元は杖を握るミッドナイトの手と、はだけた藍色のドレスシャツの胸元から覗かせる肌の色を見て思った。
部屋の暗さに徐々に目が慣れてきた坂元は、ミッドナイトの様子を注意深く観察し始めた。
わかばだ!死んだ爺ちゃんが吸ってた煙草と同じやつ…
「おい!人の話し聞いているのか?」
「はっ、す、すいません、じ、実はですね、横浜ベイブリッジから飛び降りるのと、首都高速6号川崎線の上から飛び降りるの、どっちにしょうか迷っていまして…」
「飛び降りる?なんで飛び降りるんだ」
「自殺するんです…僕」
「うそぉ~そうなん」
か、関西弁?なんだ今のイントネーション?
坂元の驚いた顔に気付いたミッドナイトは、面倒くさそうに一つ咳払いして
「なんでその二択なんだ」
「はぁ…え~とですね、海の上に落ちるのとアスファルトの上に落ちる違いです、ベイブリッジなら飛び降りても死体が見つからないと思うんですよ多分、海だからそんなに迷惑もかからないと思うし、でも川崎線から飛び降りると下が産業道路で人とか車にぶつかるリスクがあるじゃないですか…あと死んだ時の絵図らも、悪いじゃないですか…きっと血とかいっぱい飛び散って、脳味噌とかも…」
「じゃぁベイブリッジでいいだろ、人に迷惑かけたくないんだろ…それにだいたい死ぬんだから絵図らなんかどうでもいいじゃねか」
「そうなんです、誰にも迷惑をかけずにひっそりと…いつの間にか死にたいんです、だから迷ってるんです…」
「だから何を迷ってるんだよ、」
ミッドナイトが声を荒ぶらせる
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