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ミッドナイトがつまらなそうに坂元を一瞥して、二本目のわかばに火を付ける。
「横領です…会社の金を…業務上横領してしまいました…」
「ほぉ~金使い込んだんか兄チャン?やるのぉ~ギャンブル?いや、そのタイプじゃねなぁ…女か?やっぱ女だろ?キャバクラか?」
「な、なんで分かるんですか?」
「なんでも御見通しや、わしが何年この仕事やってると思ってる?いくらや?そんでいくらちょろまかしたんや?」
ミッドナイトが興味無さそうに続けて聞く。
「1千9百万円です…」
「はぁ?そんだけ?1億9千万円じゃなくて?」
「そうです、1千9百万円…約10年間で…なんて事をしてしまったんだ僕は…もう取り返しがつきませんよ…」
坂元はそう言って、一度天井を仰いでからうなだれた。
「でもな兄チャン、きょうび1千9百万円じゃ車も買えんで、ホンダの新しいスーパーカー何んて言うたあれ?2千万円以上するやつ、Nなんとか…NPOだ!」
「違いますNSXです…」
「じゃかぁしいんじゃボケ!車の名前なんてどうでもいいんじゃ!ベイブリッジから突き落としたろかぁ!」
ど、ど、どうして?どうしてこんなに切れられなきゃいけなの…
「す、すいません、気に障ったら謝ります…すいません…」
ミッドナイトはへそを曲げてそっぽを向くと、吸いかけのわかばを力いっぱい壁に叩きつけた。
「兄ちゃんなぁ、犯罪を犯したら償うの、人間としてこの世に生を授かった以上あかんのよ、死んで罪を償おうとかは…裁かれて刑務所行くの、分かった?分かったらもう帰んな…」
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