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「行けないです…まだそこまで…」
「なんでや?裁判まだか?」
「違うんです、まだバレてないです…会社にも…誰にも…横領が」
「はぁ?な、なんやとう?…どうゆう意味や?」
ミッドナイトが塞ぎ込んでいる坂元の目を覗き込む。
「M&Aで来週会社に会計監査がはいるんです…」
「HISで来週社員旅行に行くんかぁ?景気がええのぉ」
やっぱり馬鹿にしている…何故かアルファベットがめちゃくちゃだ…
「違いますTOBで…じゃなくて…ようは株式買収で経営統合されるんですうちの会社が、それで向こうの会社の会計士が来て…今までの帳簿を全てひっくり返して…僕の10年間の不正が…」
「でもまだバレてないと」
「間違いなくバレます!もう僕は終わりです…あぁぁなんて事したんだ」
「だから誰にもバレないうちに飛び降りか?人の金使うだけ使って、ほなさいならかぁ?虫のいい話やのう」
坂元が目に涙を溜めて口元を震わせる。
「死に場所なんかどうでもええ、死んで全部チャラになる思うたら大間違えやで!兄ちゃんのちょろまかした金でどんだけの人が迷惑してる?会社はどうなる?」
「すいません…うっ、うっ、うっ…」
とうとう声をあげて泣き始めた出した坂元にミッドナイトが続けた。
「さて、どないするかのぉ…うぅ~ん…兄チャン?後悔してるんかい?」
坂元が小さく頷く。
「んん~もう一度ちゃんとして出直す気あるんか?」
「はぁ…はい、やり直したいです、本当にやり直したい…」
「体力も勇気も要るでぇ~プライドなんかも捨てなぁあかんし、大丈夫かいな?」
ミッドナイトに涙と鼻水でぐずぐずになった顔を向けて坂元は必死に頷いた。
「よっしゃぁ仕方ない、ほな助言したるかぁ」
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