4章 風が吹く

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今までずっと。 目を閉じてたことに。 今気づいた。 目の前には、掃除屋。 じゃなく。 かつてそう呼んでいた人。 暗がりの中に。 立って。 窓からの。 惑星明かりに。 半身だけ照らされている。 「……掃除屋………」 じゃなくて。 頭をふる。 自分を見おろす。 イスの上に、膝を抱えて。 眠っていたらしい。 「夢………」 みていた。 昔の夢。 この掃除屋の、そばにいようと。 決める前の。 夢。 「リーダー…」 「ハヤオ、頼みがある」 「頼み?」 「仕事だ」 リーダーについて。 屋上に設置された。 電波塔の梯子を登る。 惑星は沈み、また昇ったようだった。 地上で一番高い場所。 登り切ると。 「ナツイチ、交代だ」 金網の床に鉄柵で囲われた。 一人だけ座れるくらいの場所に。 ナツさんが陣取って。 空を見上げていた。 「了解」 空から目を離さないまま。 ナツさんは笑う。 「ハヤオか。  大丈夫?」 「何が?」 「ここでレーダーの代わりに、  ゴミが降らないか見張るんだよ」 柱に括り付けられた通信機を指して。 「見つけたらこれで、  勤務班に伝える。  できる?」 「えっと、  うん。  多分」 「多分じゃダメ。  人が死ぬぞ」 「えぇ」 ハヤオはリーダーを見る。 「ナツイチはもう、  12時間ここにいる。  交代しなきゃならない。  お前の目が頼りだ」 そう言いながら。 ハヤオの腰に自分の装備していたベルトを巻きつけ、柱に繋ぐ。 「今哨戒に飛んでるブルーム、見える?」 「うん」 「あの軌道が都市の外縁ね。  今飛んでる高さは最上層。  あそこから内側に入りそうなゴミを報告して。  まず方角、それから高度を伝える。  いい?」   ナツイチがやっと立ち上がり。 ハヤオに場所を譲る。 「2時間したら戻るから。  何かあればすぐに呼んで」 「うん」 ナツイチがしていたように。 じっと空を見上げる。 惑星の空に。 今のところゴミはない。 数秒おきに身体の角度を変える。 勤務しているのは六時班だ。 飛び方でなんとなく分かる。 静かで、規則的な飛び方。 マキの癖が似ている。 吸って吐いて、吸って吐いて。 呼吸のように繰り返す。 星が陰ると、ゴミが降る。 通信機で報告する。 「南、最上層」 「西、最上層」 「北西、最上層からもうすぐ上層」 「東から南にもしかしたら抜けるかもだけど、  最上層」 ブルームが飛んでいき、その下をダストパンが5機。 綺麗な円錐を描いて飛ぶ。 ブルームを頂点に。 時計回りに円を描きながら拾う。 最後のひとかけらを拾ったあと、数秒かけて後続がないか確認をしてから、下層の3機が戻り、中層の2機が戻り。 最後にブルームが戻る。 同じ作業を3度繰り返したところで、ナツイチが戻ってきた。
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