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「ちゃんとやってるね」
「簡単だよ」
ナツイチにそう答えながらも、空から目を離さず、少しずつ角度を変えていく。
「交代」
ナツイチがベルトを柱に繋ぐ。
「待って」
またゴミが降る。
「北北東、最上層に入る」
「了解」
そう言って出たのは十二時班だった。
女の声が答えた。
「ユキさんだ」
「さっきと違う」
全く違う飛び方だ。
ゴミに向かって一直線。
まるでぶつかるかと思う距離で、撃ち抜く。
砕けたゴミは、弾き返されるようにそれまでの軌道の反対側へ散らばる。
やっと追いついたダストパンも、ゴミに飛び込むように拾う。
急カーブを描いて折り返して、また拾う。
ダストパン同士がぶつからないのが不思議だ。
上層に、ブルームと同じ高さで3機。
中層にはそれより遅い2機。
下層にはいない。
高く昇った惑星に、その翼が照らされる。
「惑星の明かりがあるからな。
この時間は、上で拾えば拾うほど楽だ」
ナツイチが教えてくれる。
十二時班が戻ろうとする背後に、またゴミの影が映る。
「北北東、最上層。
後続がある」
ハヤオが伝えるが、返事がない。
「北北東だ、ゴミが降ってる。
聞こえる?」
ナツイチが自分の通信機を取り出す。
「シマさん出て!」
下で音がして、ブルームが飛び出す。
それに気づいた十二時班がようやく異変に気づく。
「なんで?」
「通信不良だ。
多分ユキさんのが壊れた」
ゴミはすでに上層に入る。
「間に合わない」
「いや間に合わせる」
2機のブルームが砕く。
欠片が飛び散る。
ダストパンは引かずに高い位置で拾う。
「嫌な感じがする」
「ハヤオ?」
血が巡る。
呼吸を忘れて、目を凝らす。
ゴミが2箇所で散る。
5機のダストパンは近すぎる。
欠片の間を翼が横切る。
近すぎる。
早すぎる。
高すぎる。
「当たる…!」
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