46人が本棚に入れています
本棚に追加
ガチャガチャと。
歩いて。
思い出す。
いつもいつも。
あとをついて来て。
仕事を手伝うかと思えば。
邪魔したり。
ふざけたり。
怒ってばかりいたけど。
本当は。
楽しかった。
「妹はヨナカ。
3匹が静かになると、逆にうるさいから」
心配性だった。
ちょっと大人なつもりで。
ふざける3匹には、混ざらなかった。
でも、面倒見が良くて。
みんな。
頼りにしてた。
怒られて。
嫌な態度をとると。
食事も。
寝床も。
服も、没収で。
こわい子だった。
強い子だった。
「チビは、ユメ。
あいつは夢ばっか見てたからな」
掃除屋になってって。
最初に言ったのは。
チビだった。
宝物の、紙の本を。
大切に。
持っていた。
みんなの名前は。
その本から、探した。
読み方も、言葉の意味も。
こっちは聞く気もないのに。
延々と、話して聞かせた。
夢を、みんなに。
見せていた。
ひと山おりて。
窪地。
「ここだ」
そこに。
いた。
5人の。
弟たち。
いつも寝るとき。
くるまっていた。
ボロ布に。
頭まで。
包まれて。
地面に。
横たえられた。
亡骸と。
なっていた。
「え」
掃除屋は。
見て。
すぐに。
分かった。
でも。
信じられなかった。
「そんな」
死んだのか。
みんな。
なぜか。
くるまれた上からでも。
誰だか、分かる。
死んでいることも。
分かる。
「最後の、お別れ」
ハヤオは、マッチをとりだした。
電車の外壁らしき、鉄板に。
横たえられた。
5人の。
骸に。
火を。
放つ。
「このままにしてたら、
食い物に、
されるから」
火は。
ゆっくりと、広がり。
視界を、真っ赤に染める。
ハヤオも、掃除屋も。
ただ。
眺めていた。
「どうして………」
ポツリ。
かき消えそうに。
なりながら。
ハヤオの耳に。
届いた。
「俺、守れると思ってた」
ハヤオの言葉も。
ポツリと。
足元に。
落ちるように。
最初のコメントを投稿しよう!