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こうなれば自力でなんとかするしかない。隙を作ってゆうのさんを拾って脱出だ。
血反吐を吐く思いでなんとかRPGの元へ行く。ガジガジと砲身を噛み咥え、足を駆使して地面に弾頭を突き立てる。
ちくしょう。そんなに私の脳みそが弾ける所が見たいのかい! ならばとくとその目に焼き付けロォーーーーーーーーッ! ガチン。足の指がRPGのトリガーを引いた。
「ーー」
一瞬の忘我。閃光が目を射抜く。わあ。綺麗だなぁ。前進してきた歩兵隊が慌てて後退していく。雲ひとつない快晴に勢いよく火柱が上がった。
「奴は狂っていやがる。頭だけじゃない。何もかもが、狂ってるんだ……おかしいんだよっ」
唯一生還した前線の歩兵はそう語ったそうだ。その意味は後に彼が発狂してしまったため何が起こったかは地元警察含め軍隊もわかっていない。ただ死屍累々、ヘリや戦車の残骸のうちから一両のM-3軽戦車だけがなくなっていたという……。
そして、私が引き金を引いてから十分後。
「はっぴばぁすでぇーい。生まれ変わったわーたーしー。うつーくしぃーせかいにーマヂ感謝ー」
奪取したM-3軽戦車の主砲が盛大に火を噴く。言ったはずだ。私を殺したいならジャイアンのママか生理中の牛でも連れてこいと。
「なんでぼくがこんなことを早くおうちに帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい暖かいスープが飲みたい飲みたい飲みたい」
ゆうのさんは走行系コックピットでブツブツと言いながらも砲塔の私が撃ちやすいポジションに戦車を走らせる。私は満足げな顔で主砲を歩兵隊の群れに放った。
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