第一話 織田信長、現代の伊豆下田へ

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 交通面が悪く人口減少により、市内の商店街は軒並み閉店していっており平日の商店街は閑散としている。車を持つ家庭は下田を抜けて伊東(いとう)や三島(みしま)、沼津(ぬまづ)など品揃えが豊富で安価な近隣都市へと買物に遠出するからだ。若者向けの娯楽面に関しても乏しくて、昔は市内に小さなゲームセンターや昭和時代の頃には映画館もあったらしいが、今は両方とも無い。カラオケをするなら、郊外にある個人が経営するカラオケ店か、市内の居酒屋やスナックに行くしかない。下田には海中水族館や寝姿山ロープウェイなど観光地は色々とあるが、地元の人はイベント時などの機会がない限り、あまり足を向けない。唯一、伊豆下田近郊は海水浴場が沢山あるので、夏場はあまり困らないが、遠くから訪れる海水浴客が多くて、長い交通渋滞が頻発してしまうのが難だ。  伊豆下田は観光するだけなら良いが、現状では住みやすいとはお世辞にも言えない町である。  そんな町に、住む時代も違う縁のゆかりもない本来いるべきではない男らが突然現れて大騒動を起こす事になるとは、この時誰も思いもしなかったのだった。
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