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(冥途食堂の記憶はあるが、あれは夢か幻だったのかも?)
母親に抱かれながら考えていると、
「めいどあり!」
僕を取りあげた産婦人科医が叫んだ。
その顔はまぎれもなく冥途の泰山王、あのぶっきらぼうな冥途食堂の店主だった。
店主が冥途の住人にあるまじきスマイルで、似つかわしくない言葉を告げる。
「ご注文の品は以上でよろしいでしょうか。またのご来店お待ちいたしております」
僕は初めて店主の笑顔を見た。
──冥途食堂で末期のめしを 終わり。
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