【第三章】『陽菜が触れた大きな心』

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「でも千夏ちゃんは行っても良いって言ってくれたわ」 「そうなの? それならもう何も言わないけど。とにかく許可をもらっているのなら行ってみましょう」 そう納得したもののまだ頭の片隅に疑問が残っていた陽子であったが、久しぶりに亨とあってみたいとの思いが強くなってしまい亨のもとに行く事を決断してしまった。 「良いのありがとう、お願いねママ」 こうして母に車椅子を押してもらいながら翔のいる病室へと向かう陽菜。 「こんにちは亨兄ちゃん、今日はママと一緒に来たよ」 「陽菜ぁ待っていたよ、あっおばちゃんもご無沙汰しています」 「ほんと久しぶりね、元気にしていた?」 「何言っているのママ、元気じゃないからこうして入院しているんじゃない!」 そんな陽菜の言葉にクスッと笑みがこぼれる陽子。 「確かにそうね」 「そうですね、確かに今はこうして骨折してしまい入院中ですが、それ以外はたいした病気もする事なく元気にやってます」 「そうそれはよかったわ。足も早く治ると良いわね」 「はいありがとうございます。早く治るようにがんばります」 「何言っているの? こういうのってがんばるものでもないんじゃない?」 「確かにそうですね」 笑顔で返す亨に陽子が尋ねる。 「ところでご両親は元気に暮らしているの?」
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