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「歴史的にはね。でも種族自体が滅んだわけじゃない。身を隠し生きるもの、魔女ではなく人間として生きるもの、それぞれが違う生き方を選んだ、戦争以来ね。」
「じゃあ戦争で魔女は全滅したわけでは…?」
「そんな歴史は嘘っぱちね。」
この世界に住む者なら一度は知る大昔の文献、"魔女"の存在ー。
彼女らは他の種族には扱うことのできない強大な力、"魔術"を使用できた。
それ故に一部の魔女がマリアナイツの隣国である帝国を乗っ取り、戦争を引き起こした。
結果は帝国が敗北し、国は滅亡。
魔女も戦争終結と共に世界から姿を消した。
もちろん魔術の存在も消え去り、歴史上の存在となってしまったわけだ。
「なるほどね。戦争で全ての魔女は姿を消しただけで、存在自体は残っていたわけか。」
ジェネシスは納得したという顔で呟く。
「驚いたでしょ、人間。まさか歴史上の存在がまだ生きていたんだからね!」
「でもそんな強大な力を持っていた筈の魔女が私達に一切攻撃をしてこなかったんですか? 今でも牢屋から出るくらい魔女なら容易いのでは?」
アリアは純粋に疑問をぶつける。
確かにそうだ。
魔術を使えば私達を殺してでもこの場から逃げることができた筈だ。
しかし彼女はそれをしない。
いや、彼女にそれは出来ない。
「彼女にそれは出来ない。彼女は魔力を持ってないから。」
エネリが問いに答えた。
「魔女なのに?」
「恐らく彼女は軍人だった魔女の末裔でしょうね。昔は魔女も軍人になれた。ただ、魔術という強大な力は同時に危険視もされていたため、軍人に志願した魔女は代わりに魔術を封印された。」
「つまり魔術を封印されれば、その一族は魔術を使用できない?」
「簡単に言えばそうでしょうね。」
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