第一章~宮廷魔導師と魔眼の子~

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マリアナイツ王城:会議室にて 「今回の件は外部の者の可能性が高いと思われます!」 一人の大臣がそう言った。 いつもなら超能力だよりで私の見解を聞いてくるはずなのだが、今回は違った。 「玉座の近くにこのような紙が落ちていました。」 見るとくしゃくしゃの羊皮紙が一枚。 そこには短い文章で 「宝石はいただいた。 怪盗ST」 と書かれていた。 なんともこれぞテンプレといった感じの書き置き。 これだけで外部の者の犯行と決めつけるのは随分と安直に思われる。 が、どうやらそうでもないらしい。 「怪盗ST…。」 最近マリアナイツを含む近隣諸国でこういった窃盗 事件が相次いでいる。 そして事件現場に毎度書き置きが残される。 そこに書かれているのが"怪盗ST"という名前なのだ。 これまで怪盗STによる窃盗事件は50件を超え、各地で警戒態勢をとり、国自体が動き始めていたが正体はいまだに掴めていなかった。 そして今回、初めて王城に忍び込まれてしまった。 王族の所持品、しかも国宝が盗まれたケースは今回が初めてだった。 それにしても、外部からの犯行だとすると非常によろしくない事態である。 今までは一般庶民ばかりを狙った犯行であったのに対し、今回は王族。 当然彼らを守る兵士達が存在している。 …しかし、今回誰一人として怪盗STの姿を見た者はいない。 実に不甲斐ない話である。
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