燈火-トモシビ-

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* * * 俺には2つ下の妹がいた。 妹はいつもにこにこ笑って優しくて誰からも愛されて学校でも人気があった。 両親もそんな妹をとても可愛がっていた。 俺はそれが羨ましくて妹を妬んだりもしたが、完全に憎むことはできなかった。 俺も妹が大切だったのだ。 俺達はそんな普通の家族だった。 それが崩れたのは俺が4年生の時。 妹が交通事故で死んでからだった。 公園で遊んだその帰り。 僕が落としたボールを拾おうとして妹は車道に飛び出した。 両親の哀しみようはひどかった。 特に母は一日中泣き続け、みるみる痩せていった。 一年後にはなんとか気を持ち直したようだったが、前のような明るさはなくなってしまった。
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