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* * *
「それでここに来たという訳ですね。
もう一度過去を変えるために」
店主の問いに昴は頷いた。
話しているうちに少し落ち着いたようだった。
「あんたに非がないのは分かっている。
妹を守れなかったのはこの俺だ。
だから……!」
店主は昴を手で制し、首を降った。
「残念ながら、貴方の望みを叶えることはできません」
「どうしてっ!」
「貴方には代償が払えない。代償が払えない人にはモノは売れません」
「代償なら……」
昴が言いかけた言葉を店主が遮った。
「貴方、何回過去を変えました?」
唐突な質問に昴は一瞬思考が止まった。
何回?
何回も何も前回が初めての筈だ。
過去を変える機会なんて早々あるものではない。
けれど店主はこの答えに首を降った。
「貴方は十回以上過去を変えている。
それを覚えていないだけです。
そして、その代償は過去を遡った分だけの自分の寿命だ」
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